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読みます、と宣言した翌々日に読み終わったのですが、
そのあとも、今でも毎日通勤鞄に本を忍ばせて、
好きな場面を思い出してはつまみ読みをしています。
いっそ付箋を貼ろうかと思っているくらい、好きな場面はたくさんあります。

最初に、ああ、これはまずいなと予感した通りのはまり方です。
一止さんが、私の好みだったのでした。

あくまでも翔さんが演じることありきで、
私の妄想の中での一止さんなんですけれども、
この妄想が大きくはずれることはきっとないと信じています。
けれど、どう転んでもいいです。
翔くんがまったく違う角度から一止さんを作ってきたとしても、
私は受け止められると思うので。

撃沈ですよ。あのパーマも野暮ったさもまるっと愛してる!!

以下、感想を述べます。ネタバレ含みます。

この作品で翔くんが何と向き合ったのか。

よく考えたら、お医者さんの役なのだから当たり前なのだけれども、
翔くんは一止さんを通して「死」と向き合わなくてはならなかった、
と小説を読みながら改めて受け止めたときはちょっとショックでした。

医療をテーマにした映画やドラマはそれこそたくさんあるけれど、
その中でも町医者で、さらには患者さんとの距離が極端に近い一止さんの
仕事のやり方に添って「死」と向かい合うという作業は、
なかなか辛いことだったと思います。
撮影期間中は東京に戻って別の仕事をしているときも、
役から離れないように気をつけた、とは本人談ですが、
さぞや大変だったでしょう。

けれども、この作品はおおよそ重いお話というわけではなく、
一止さんとそのお嫁さんのハルさんがとてつもなく可愛い夫婦なので、
ストーリーとして展開はいろいろあるのだけれども、
すべては一止さんとハルさんの可愛さに帰結すると言って過言ではないです。
この夫婦がツボらなければ作品の魅力も半減するだろうとさえ思う。

そんな大切な役割を担った翔くんと宮崎あおいちゃんですが、
まあ、だいぶ可愛い夫婦になったと思いますので、
内容的にも問題はないんだろうなあと思います。
クランクアップのときの雰囲気が良かったと前に書いたことがありましたが、
小説を読んだら、彼らのやりとりの様子を見るのがより一層楽しみになりました。
あの二人は本当に可愛い。

原作は実際に長野でお医者さんをしている方が書いたということですが、
そのおかげで、医療現場の現状、問題、解釈に関しては
説得力があるんだろうと思われる内容でしたが
(もちろん医療素人なので現実との擦り合わせはよく分かりません)、
意外といっては失礼なのかも知れないけれど、情景表現も上手な人だと思いました。
小説家として巧い文章かどうかは疑問がありますが、
個人的には翔くんが出演する映画がどんなものなんだろうということがなんとなく
知れれば充分なので、そういった視点ではすごく映像的に分かりやすかったというか、
こういう映画になるんだろうな、もしくはなって欲しいなという想像が
すごくし易い文章で、楽しかったです。
私の友人は理系の人が書いた文章は読みにくい! と言ってましたけども。

例えば、ハルさんがイノダコーヒーの豆を挽く桜の間。
患者さんが亡くなったことで落ち込んでいる一止さんを励ますハルさん。
一止さんとハルさんが月を見上げる松本城。
無邪気に笑うハルさんが愛おしくて仕方ない一止さん。
男爵さんがアパートの壁中に描き上げた桜。
みんなで万歳して送り出すときの学士さんの涙。
安曇さんが最期に食べたかった文明堂のカステラ。
その、安曇さんの死。一止さんの慟哭。

そう、一番気にかかるのは、一止さんの慟哭。
翔くんはどんな風に表現しただろう。
彼のことですから、真摯に一止さんと向き合って、
痛いくらいたくさんの涙を流したと思うのです。
作品の要であり、クライマックスにもなると思われますので、
想像するとどきどきするのです。

そんなわけで原作を読んでから、
すっかり脳みそが沸いてしょうがないですよ。

いろいろ書いてみましたが、
結局のところ、一番どきどきするのは一止さんが男前であることです。
身なりに頓着せずだらしないという設定になってはいますが、
実際はめちゃくちゃモテている人なんですよね。
可愛いハルさんを嫁にしているところからしてその証拠になりますが、
男として、不器用だけれども、押さえるところをちゃんと押さえている。
意外と軽い口を叩くし、ハルさん以外の女の人を誉めることも出来る。
変わり者だと文句を言われながらも、密かに想いを寄せる看護士がいる。
でも、そんなことはお構いなしに一止さんはハルさんのことが大好き。
ハルさんも一止さんが大好き。可愛過ぎて涙が出ます。

モテる竜三さんは無敵。
いや、あのどうようもない竜三さんも好きだけど(違う)。

そんなわけで、GANTZとは違うベクトルで楽しみにしている映画です。
確かに地味な作品だろうとは思うけれども、スタッフのみなさんが、
この作品が櫻井翔のターニングポイントになると言うのなら、
そういう作品にするのだという気概があるのなら、本当に素晴らしいことです。

一止さんとハルさん。大好きな長野と、彼らを取り巻く愛しい人たち。
楽しみだなあ。早く夏が来ないかしら。
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